『民主主義が一度もなかった国・日本』(宮台真司、福山哲郎)
「09年8月30日、日本に革命が起こったことに国民は気づいていない。」―――帯の文句に引き寄せられて、つい買ってしまいました(笑)。
↑大げさすぎる「引き」で、かなり警戒してしまうけど。いつ既得権益保持者のゆり戻しがくるか分からないんじゃない、と思って。
- 作者: 宮台真司,福山哲郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 新書
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本書は、宮台真司と外務副大臣福山哲郎の「7時間の対談と、3日間の原稿チェック、政権交代後2ヶ月で緊急出版」と冒頭に書かれているけど、そうとは思えないくらい読み応えがあります。・・・・・というか、はっきり言って難しいです・・・・・。一文々々がものすごく凝縮されているので、読むのに時間がかかるのです。新書で対談なんて、もっとも読みやすい本のはずなのに・・・・・。でも、よく理解できないなりに、がんばって読んでいたら、私は、「第七章 日本の未来」まできて、突然、いきいきした、とてもハッピーな、未来イメージが目の前に浮かびました。
あと20〜30年もしたら、みんな、日本企業の最先端環境技術力の恩恵にあずかっていてですね、全国の住宅に太陽光発電パネルが取りつけられ、電気自動車を充電して・・・・住宅は超高度な建材・断熱材で、冬は暖かく夏は涼しく、電球はLEDで電気をほとんど使わない・・・・みたいな、いやそこまでは書いてなかったですがそういう未来のイメージ。
そのときは、今ある有名企業の顔ぶれも変わっていて、いわゆる「痛み」があって、トヨタは自動車よりも家を作っているかもしれませんが(もう作ってるけど)、それでもそうなるといいなぁ。ひ孫の代でもいい。100年前の人が今のiPhoneだネクサスワンだというのを見たら、相当びっくりするだろうから、今から100年後にどうなっているかは誰も分からないですよね。
十年以上先の明るい日本のビジョンを示すなら、この国が金融大国になれるわけもないし(投資ヘタだし)、環境立国を目指すしかない、世界に先んじて技術と次世代のライフスタイルを開発し、実利と、世界の尊敬を得るしかない。さいわい、手先の器用な(?)国民性と、「清貧わびさび思想」も歴史的にあることだし。と、漠然と思っているけどなぁ。
正しいビジョン(何が正しいかというのは非常に難しい問題だけど、ひとまず戦争や貧困を志向するのではなく、「地球上の“生命”を尊重する、“生命の質”を向上させる」方向性を正しい、としておく)が共有できれば、いろんな人がそれぞれの得意分野でがんばればいいんじゃないでしょうか。楽天的だけど。